会長の挨拶

 先日傘寿を迎えた私は、洋の東西を問わず、これまでにずいぶん多くの国を訪れましたが、日本ほど美しい国はありません。日本には四季があり、美しい山河があり、そこに私たち日本人が祖先から受け継いだ勤勉で柔和な精神と、さらには他の民族の追随を許さない清潔な社会と高い衛生観念があるからだと思います。この日本の美しさを護る最前線で日々たいへんな業務に従事なさる皆様の相互扶助のために本組合が組織され、その会長に就任したことを、私はとても誇りに感じています。
 半世紀近くを国政の場で我が国の平和と安寧のために身を捧げてきた中で、とくに心血を注いでまいりましたことの一つに、危機管理の問題があります。生まれ育った神戸の自宅で被災した阪神淡路大震災の体験は、今でも鮮明な記憶がありますが、あの折、日常あたりまえの事のように捉えられがちな廃棄物処理の重要性をあらためて実感しました。また1977年9月のダッカ日航機ハイジャック事件では、運輸政務次官であった私が人質の救出団長として現地に赴いたわけでありますが、偶発した軍事クーデターにも遭遇し、非日常の極致のような有り様を垣間見た時、日々の穏やかな生活の如何に有難いかを心底思い知りました。平穏な毎日を平穏たらしめているのは、すべて皆様の努力の賜物であり、ただ感謝の一言に尽きます。
 危機管理都市推進議員連盟会長、国際・地球温暖化に関する調査会長、あるいは世界遺産議員連盟会長などを歴任してまいりました私が政治家として携わってきた仕事の多くは、廃棄物処理に係る諸課題と強い関連を有しています。廃棄物処理をなおざりにして国づくりを語ることはできません。昨今、各自治体がそれぞれの政策をばらばらに実施することで弊害が生じ、法整備の必要性が、新たに政治問題化しています。立法府に身を置いた者として、また皆様の代弁者として、今後適切な対応を各方面に強く要求して参りたいと思います。
 美しい私たちの国、日本のライフラインを支える大動脈として、組合員の皆様には更なるご活躍を心よりお願い申し上げます。本組合の会長としての職責を全うし、組合員企業の皆様のご繁栄、ひいては国民生活の向上のために努力邁進して参ります。

石井一

石井一写真

石井一国際政治研究所代表
元自治大臣・国家公安委員長
元国務大臣国土庁長官
前参議院予算委員長
旭日大綬章受章(2014年4月)